蓄電池の導入を考えるなかで、「DR補助金」という制度を知り、活用できるか気になっている方も多いのではないでしょうか。ただ制度の内容は複雑で、自分が対象になるのか、いくらもらえるのか、判断に迷ってしまいますよね。

 

本記事では2026年度の最新状況と対象条件、補助額の算定方法、次回に向けた準備までまとめて解説します。

DR補助金とは?2026年度(令和8年度)の制度概要

DR補助金とは、蓄電池をデマンドレスポンス(DR)に活用することを条件に、国が導入費用の一部を補助する制度です。正式名称は「令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業」で、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が執行団体を務めています。

 

目的は、電力が余る時間帯に蓄電し、需給がひっ迫する時間帯に放電することで、再生可能エネルギーの活用と電力需給の安定化を図ることです。そのため、単に蓄電池を購入するだけではなく、DRに活用することが補助の前提となります。

 

2026年度は4月27日に公募が始まり、当初は12月10日まで申請を受け付ける予定でした。しかし、約1ヶ月で予算上限に達したため、5月29日に受付を終了しています。

 

これからDR補助金の活用を検討する場合は、2026年度分には新たに申請できない点を押さえたうえで、今後の公募情報を確認しておきましょう。

DR補助金でもらえる金額はいくら?

DR補助金は最大60万円ですが、実際の補助額は蓄電池の初期実効容量や導入費用によって決まります。

 

算定方法は次の通りです。

 

  1. 初期実効容量(kWh)×3.45万円で容量に応じた補助額を算出する
  2. 設備費+工事費の合計額に補助率310を乗じる
  3. 「①の金額」「②の金額」「上限60万円」を比較し、最も低い金額を補助額とする

 

つまり、容量が大きければ必ず60万円受け取れるわけではなく、導入費用に応じた上限も考慮されます。初期実効容量だけ計算すると、約17.4kWhを超えると60万円の上限に達します。ただし、実際には設備費・工事費に対する310の上限も適用されるため、容量だけで補助額が決まるわけではありません。 

 

実際の補助額は、見積もり時に販売施工業者へ確認しておくと安心です。

DR補助金の対象補助条件

DR補助金を活用して蓄電池を導入するには、いくつかの要件を満たしている必要があります。

 

ここでは対象となる蓄電池の要件と、2026年度から追加された新しい条件を確認していきましょう。

DR補助金の対象条件

ここではDR補助金を申請する人・事業者が補助対象者となるための条件を紹介します。

主な要件は以下の通りで、すべて満たす必要があります。

 

  • 日本国内で事業を営む法人・個人事業主、または日本国内に居住する個人であること
  • 導入する補助対象設備の所有者であること
  • 法人・個人事業主は、事業を継続できる経営基盤を有していること
  • 蓄電池アグリゲーターとDR契約を締結するか、小売電気事業者のDRメニューに加入し、2028年3月31日まで継続すること
  • 個人の場合、自身のメールアドレスを所有し、原則としてSII指定の本人確認(proost)を利用できること
  • DRの実施状況の報告や、処分制限期間中の設備管理・活用状況の確認などに対応できること
  • 経済産業省から補助金等停止措置・指名停止措置を受けていないこと
  • その他、公的資金の交付先として社会通念上適切と認められること

 

希望するメーカーの製品が対象になるかどうかは、契約前に必ず販売店へ確認しておきましょう。

DR補助金の対象となる蓄電池の要件一覧

DR補助金を利用するには、SIIに登録されている製品のなかから、DRに対応できる蓄電システムを選ぶ必要があります。

 

主な要件は以下の通りです。

 

DR対象機器として登録されるための要件

  • SIIに事前登録された家庭用蓄電システムであること
  • BMS・PCS・EMSなど、制御システムの主要な構成製品についてJC-STAR★1を取得するなど、所定のセキュリティ対策が講じられていること
  • JIS C 4414に準拠し、ラベル表示があること
  • JIS C 8715-2またはIEC62619の類焼試験への適合について、第三者機関による証明書等を取得していること
  • BMSメーカー等について、過去の実績や国際的な基準への適合性などを踏まえ、開発・供給の適切性が確保されていること

 

補助対象設備として満たす要件

  • 本事業のために新規で導入する蓄電システムであること
  • 各種法令等に準拠して設置されること
  • DRに対応可能な蓄電システムであること
  • HEMSやGWなどのIoT化関連機器を介してDRに対応する場合は、必要なセキュリティ要件を満たしていること
  • 小売電気事業者が提供するDRメニューによる対応も可能であること
  • 住宅・店舗・事務所などの需要側に設置されること
  • 蓄電システムの設備費と工事費・据付費の合計が、税抜12.5万円/kWh(蓄電容量)以下であること

 

つまり、「対象製品として登録されていること」と「実際の導入条件を満たすこと」の両方が必要です。

 

購入する際はメーカー名だけで判断せず、SIIの補助対象製品検索でパッケージ型番やDR対応事業者まで確認しておきましょう。

機器選定前に確認したい5つのチェックリスト

蓄電池を選ぶ際は、以下の5点を販売施工業者と確認しておきましょう。

 

  • 購入予定の製品・パッケージ型番がSIIの補助対象として登録されているか
  • 希望する容量や機器構成が登録内容と一致しているか
  • 利用予定のアグリゲーターまたは小売電気事業者のDRに対応しているか
  • 設備費と工事費・据付費が目標価格の範囲内に収まっているか
  • 新規導入など、補助対象設備としての条件を満たしているか

 

製品名だけでは対象可否を判断できない場合があるため、契約前にパッケージ型番やDR対応事業者まで確認しておくことが大切です。

DR補助金の申請方法と申請の流れ

DR補助金を活用するには、決められた手順に沿って申請を進める必要があります。

 

ここでは申請から受給までの流れと、選択が必要な申請パターンについて解説します。

申請~受給までのステップ

DR補助金の申請は、個人が単独で行うものではなく、登録された販売施工業者を通じて進めるのが基本です。おおまかな流れは以下の通りです。

 

  1. 本人確認情報の登録を行う
  2. 対象製品の見積もりを取得し、共同実施事業者を選ぶ
  3. 共同実施事業規約に同意し、交付申請を行う
  4. SIIの審査を経て交付決定を受ける
  5. 交付決定後に契約・発注し、蓄電システムを設置する
  6. DR契約またはDRメニューへの加入、通電確認・検収・支払いを完了する
  7. 口座登録後、実績報告を行う
  8. SIIの確定検査を経て補助金額が確定する
  9. 精算払請求後、指定口座へ補助金が振り込まれる

 

順番を誤ると補助対象外になってしまうため、業者と契約するタイミングは必ず確認しましょう。

アグリ型と小売型の違いと選び方

DR補助金では、蓄電池アグリゲーターとDR契約を結ぶ方法と、小売電気事業者が提供するDRメニューに加入する方法があります。どちらもDRに参加する点は共通していますが、参加方法や仕組みが異なります。

 

比較項目 アグリ型 小売型
参加方法 蓄電池アグリゲーターとDR契約を締結 小売電気事業者のDRメニューに加入
DRの仕組み 蓄電池の状態監視や遠隔制御・制御指示などによってDRを実施 電気料金型DRまたはインセンティブ型DRなどのDRメニューを通じて実施
対応製品 アグリゲーターが制御可能な蓄電システムとしてSIIに登録した製品 小売電気事業者が自社のDRメニューに適した製品としてSIIに登録した蓄電システム
補助金額 共通 共通

 

どちらを利用できるかは、購入する蓄電池の対応状況や、利用するアグリゲーター・小売電気事業者によって異なります。蓄電池を選ぶ際は、製品だけでなく対応するDR事業者についても販売施工業者へ確認しておきましょう。

申請前に確認したいチェックリスト

申請をスムーズに進めるためには、事前に必要な情報や書類を整理しておくことが大切です。次回公募に備える意味でも、以下の項目を確認しておきましょう。

 

  • 共同実施事業者として登録された販売事業者を選んでいるか
  • 補助対象製品の見積もりを取得しているか
  • 利用するDR契約またはDRメニューを確認しているか
  • 本人確認情報の登録を済ませているか
  • 補助事業の内容を確認し、共同実施事業規約に同意しているか
  • 交付決定前に蓄電システムの契約・発注・支払い・設置工事を行っていないか
  • 事業完了後の実績報告期限を把握しているか

 

これらを事前に整理しておくことで、公募開始と同時にスムーズに申請へ進めます。特に本人確認手続きは時間がかかる場合があるため、早めの着手がおすすめです。

DR補助金は他の補助金と併用できる?実質負担額の考え方

DR補助金だけでも十分魅力的な制度ですが、自治体の補助金と併用できれば、蓄電池の実質負担額をさらに抑えられます。

 

ここでは併用の可否と、実際の試算例を紹介します。

自治体の蓄電池補助金・CEV補助金との併用可否

DR補助金は、自治体側の制度で認められていれば、自治体の蓄電池補助金と併用できる場合があります。SIIも、自治体補助金との併用可否については各自治体へ確認するよう案内しています。

 

たとえば東京都の2026年度「家庭における蓄電池導入促進事業」では、国や他の地方公共団体から補助金を受ける場合、その金額を助成対象経費から差し引いて東京都の助成額を算定する仕組みとなっています。

 

また、V2Hを同時に導入する場合は、国のV2H充放電設備補助金と組み合わせられる可能性があります。SIIでは、国庫補助金同士であっても補助対象設備が異なる場合は、それぞれの補助事業への申請が可能としています。

 

ただし、同じ設備・経費に対して国の補助金を重複して受けられるわけではありません。特に蓄電池とV2Hが連携するシステムでは補助対象となる機器や経費の区分を確認し、各制度の要件を満たす必要があります。併用を検討する場合は、自治体の最新要綱や販売施工業者に確認しておきましょう。

併用した場合の実質負担額シミュレーション

実際にどの程度お得になるのか、東京都在住のケースを例に試算してみましょう。12kWhクラスの蓄電池を導入し、DR実証にも参加した場合の補助額は以下の通りです。

 

  • 東京都の蓄電池補助金:10万円×12kWh=120万円
  • 東京都のDR実証参加加算:10万円
  • 国のDR補助金:12kWh×3.45万円=41.4万円

 

これらを合計すると、171.4万円の補助を受けられる計算になります。

 

もちろん、これはあくまで一例であり、実際の補助額は蓄電池の容量やメーカー、居住する自治体によって変動します。複数の補助金を組み合わせられるかどうかは、見積もり段階で販売店にシミュレーションを依頼し、実質負担額を具体的な数字で確認しておくことが大切です。

DR補助金活用で押さえておきたい注意点

DR補助金は魅力的な制度ですが、申請前・採択後・受給後のそれぞれの段階で見落としやすいポイントがあります。

 

ここではフェーズ別に注意点を整理していきます。

申請前の注意点(発注・契約のタイミング)

DR補助金の申請で注意すべきは、交付決定通知を受け取る前に販売施工業者と契約してしまうケースです。順番を誤ると、たとえ他の要件をすべて満たしていても補助対象外とみなされてしまいます。

 

また、蓄電システムの購入価格と工事費の合計が目標価格(1kWhあたり12.5万円以下)を超えている場合も、申請できません。補助対象となる設備費はSIIに登録されたパッケージ型番の範囲、工事費は設置に必要最低限の費用が基本です。

 

申請時は、本事業の共同実施事業者として登録された販売事業者かどうかも確認し、契約や発注のタイミングを事前に共有しておきましょう。

採択後に生じる義務(DR参加・報告義務など)

DR補助金は、蓄電池を設置すれば終わりという制度ではありません。補助対象者は、蓄電池アグリゲーターとのDR契約、または小売電気事業者のDRメニューへの加入を、原則として2028年3月31日まで継続する必要があります。

 

DR対応期間中は、アグリ型の場合、需給ひっ迫時の下げDRとして蓄電池が遠隔制御されるほか、再エネの出力制御対策として充電を促す上げDRが実施される場合があります。小売型では、電気料金やインセンティブなどを活用したDRメニューに沿って需要の抑制・創出に協力します。

 

また、国やSIIから求められた場合には、蓄電池アグリゲーターや小売電気事業者がDRの実施状況や所定のデータを報告します。申請者は、こうしたDRへの参加やデータ報告に同意したうえで制度を利用する必要があります。

不採択・補助金返還のリスクを避けるポイント

補助金を確実に受け取り、あとから返還を求められる事態を避けるためには、以下の項目をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

 

  • 交付決定前に蓄電システムの契約・受発注・支払い・設置工事を行っていないか
  • 設備費と工事費・据付費の合計が、税抜12.5万円/kWh(蓄電容量)以下に収まっているか
  • DR契約またはDRメニューへの加入を、所定のDR対応期間まで継続できるか
  • 処分制限期間中に設備を譲渡・廃棄などする場合、事前にSIIの承認が必要であることを理解しているか
  • 実績報告に必要な契約書、工事写真、支払証憑(しょうひょう)などを準備できているか

 

特に注意したいのが、補助金で導入した蓄電池の処分です。処分制限期間は導入設備の法定耐用年数に基づいて定められ、期間中に譲渡・交換・貸付け・廃棄などを行う場合は、事前にSIIの承認を受ける必要があります。場合によっては補助金の返還が発生するため、長期的な利用を前提に導入を検討しましょう。

次回のDR補助金に備えて今からできること

DR補助金は、蓄電池をDR(デマンドレスポンス)に活用することを条件に、国が導入費用の一部を支援する制度です。2026年度は最大60万円の補助が受けられましたが、4月27日に始まった公募は予算上限に達し、5月29日に受付を終了しています。

 

現時点で次回公募の時期は発表されていません。今後の公募に備えて、次のような準備を進めておきましょう。

 

  • 導入したい蓄電池のメーカーや容量を絞り込む
  • SIIの対象製品や目標価格の条件を確認する
  • 利用できるDR契約・DRメニューを確認する
  • 自治体補助金との併用可否や実質負担額を確認する
  • 共同実施事業者として登録された販売事業者に相談する

 

蓄電池は電気代の節約だけでなく、停電時の備えにも活用できます。補助制度の最新情報を確認しながら、条件や費用を比較して導入を検討しましょう。

 

太陽光発電や蓄電池の制度・補助金について、自宅や自社が対象になるか確認したい方、複数社の見積もりを比較したい方は、そらトクのコラム一覧もあわせてご確認ください。

 

参照:令和7年度補正 「再生可能エネルギー導入拡大・分散型エネルギーリソース導入支援等 事業費補助金」 (DRリソース導入のための家庭用蓄電システム等導入支援事業) 家庭用蓄電システム導入支援事業 公 募 要 領

令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業 申請手続き詳細|DR家庭用 蓄電池事業

一般社団法人 次世代自動車振興センター

太陽光パネルの見積もりは
条件・予算に合った業者を無料提案!
最短30秒で最大5社比較!
信頼できる業者を厳選して紹介!